英雄伝説 ~Legend of Heroes~

1989年11月、後にイース同様に日本ファルコムの看板となる作品が産声を上げました。その作品の名は「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」、現在(2005年10月時)までに6作品が発売されている英雄伝説シリーズの幕開けです。
当時のパソコンは、NECのPC98・88シリーズ、シャープのX1シリーズ、富士通のFMシリーズにMSXなど、ありとあらゆるメーカー独自規格のパソコンが発売されていた時代で、機種が違えばソフトの互換性はまるでないという、今のWindows環境からは想像できない状況でした。つまり買うパソコンの選び方によっては、使いたいソフト、やりたいゲームがあったとしても、自分の機種では発売されないという凄まじいリスクがあったわけです。その当時はNECのパソコンがシェアの4割以上を占めていましたから、まずパソコンのゲームといえばPC98シリーズやPC88SRシリーズで発売され、その後他の機種に移植されていくという流れになってました。
初代英雄伝説とその続編は、当初PC98・88シリーズでしか発売されず、当時使用していたシャープのX68000への移植はなく、遊びたくても遊べないという実に口惜しい思いをしたものです。幸い、その後PCエンジンに移植されたことから速攻で飛びつき、結果ものの見事にのめり込み、これまでのファルコムの作品と同様に、「英雄伝説」という作品が心の中に実に大きなウェイトを占めるようになりました。その後、就職を機会にPC98シリーズのパソコンを購入し、真っ先に「白き魔女」を購入したわけですが、この作品に深くくさびを打ち込まれて、さらに深く深く心に定着して現在に至ります。思うところを脈絡なく支離滅裂なるままに。


イセルハーサと呼ばれる世界を舞台とする「英雄伝説1&2」。セリオス王子とその後の息子アトラス王子の2世代に及ぶ冒険譚。作品は1と2で分かれていますが、お話の内容的には1の後に2を作った、というものではなく最初に大きな話があって、それを2つに分けたという形になっています。ですから「1」を終えた後もいくつか謎の部分が残り、それが続編の存在をしっかりと匂わせていたので、実に続きが気になったものでした。さらには「1」のラストに見事に足元をひっくり返され、改めて日本ファルコムの凄まじさを再認識させられた非常に思い出深い作品となっています。
現在Windows版に移植されており、さすがにシステムやグラフィックの古さ感は否めませんが、内容的には今でも十二分に楽しめる内容です。


そして、3作目となる「英雄伝説3 もうひとつの英雄たちの物語 ~白き魔女~」。この作品については既に別のページにて熱く紹介しているところですが、1作目で足元をひっくり返され、この作品にも足元をひっくり返され、RPGに対するパラダイムシフトが引き起こされることとなった、自分の中で揺ぎ無い位置を占めている大切な作品です。
実は英雄伝説シリーズとしても、この作品で大きな転換を迎えています。従来RPGと言えば、王家や特別な血、力を持つ者が世界を救うという英雄の姿が描かれていたわけですが、ここに日本ファルコムは1つの疑問を投げかけます。「英雄とはそういうものだけなのだろうか、人々の毎日の営みの中にも英雄は存在するのではないか」と。これが「3」以降の大きなテーマになっていると言っても過言ではありません。だからこそこの作品には「もうひとつの英雄たちの物語」というサブタイトルが付けられています。初代パッケージに描かれているジュリオとクリスのイラストにもその思想がしっかりと現れています。
以後、4作目「朱紅い雫」、5作目「海の檻歌」と順次発売され、ガガーブ・トリロジーと称される大きな物語が完成します。



第6作目、「英雄伝説6 空の軌跡」。5年もの長きにわたって語られたガガーブ・トリロジーの壮大な物語の後、5年間の空白(というより5年間もの制作期間)の後に発売された英雄伝説シリーズの最新作です。英伝6のニュースを知った時、大きな喜びを感じるのと同時に、「果たして、新しい英伝はガガーブ3部作とは違う面白さを与えてくれるのだろうか?」との不安がありました。それほどまでに「白き魔女」の衝撃と15年という長い時間に培われた英雄伝説シリーズに対する強い思い入れがありましたから。
そんな思いを抱えながら始めた作品だったわけですが、英雄伝説シリーズの凄さ、面白さ、楽しさ、感動、RPGのRPGたる喜びはかくあらんと思わずにはいられないほど、見事なまでに素晴らしい作品でした。「ストーリー型RPGの原点『英雄伝説』」というキャッチコピーは伊達じゃあありません。伏線が張られながら進んでいく物語、真相や真意がなかなか見えてこないいい意味での焦らされ感、緊張感にファルコム定番の音楽など、テンションは高まっていくばかり。そして迎えるあのエンディング。確信犯的で非常に罪作りではあるけれど、なぜか痛快で嬉しくて仕方がない、してやられた感の醍醐味は今までに決して味わったことのないものでした。そしてそれ以降今日に至る1年以上もの間、まったく期待と楽しみが途切れることなくSC(セカンドチャプター)の到来を待ち続けています。
第1期英伝(1&2)、第2期英伝(3~5)で、それぞれ足元をひっくり返されて来たので、今回はさすがにそれはないだろう、大丈夫だろうと思っていたものの、最後の最後で思いっきりかまされました。しかも今回「あかん、やられた!」が2段階でやってくるので、その妙味といったらもう!ってな感じです。この感覚、一度味わってみるといいですよー。しかも味わうのが早ければ早いほど、痛快さは威力を増します。

英雄とはなんですか?その答えがココにあります。