109 パプーの涙

2002年11月8日

 月の力・月の精霊って謎の部分が非常に多いです。精霊が月の支配からは絶対に逃れることができないこと、風の精霊・火の精霊があれほどまでにパプーを恐れていたこと、そして月の精霊が空高くに封印されてしまったことなどなど。こうしたことからも、月の精霊は他の精霊を支配できるだけの強大な力を持っていて、そしてその力に起因する過ちのために世界から姿を消すことになってしまったものとみて間違いないでしょう。
それは一体いつ頃の出来事だったのでしょうか?パプーは自分の力のことを「みんなが恐れる月の力」と話しますが、ポポロクロイスの住人を見ている限りそんな様子はみじんもありません。この認識の差から、月の精霊が封印されたのは人々の記憶から忘れ去られる位に昔であることや、パプー自身も封印された当時からいるのではなく、月に封印されてから生まれたのではないかということが考えられます。パプーは月に生まれ、自分たちの種族が過去に起こしたことを聞かされて育ったとすると、パプーは地上の様子を全く知らなくて、月の力がそれほどまでに恐れられていると思っていたとしてもそれは無理からぬことです。こう書くと「他の精霊は1人しかいないのに、月の精霊はたくさんいるの?」という疑問が出てくるわけですが、パプーはドラゴンの一種ということですから、他の精霊とは異なり、人間族や竜族同様に数多く存在し、また世代交代をしているとしてもさして不思議はなさそうです。
月についてもう1つ考えられるのは、ポポロクロイスの世界にある月は単なる天体ではないということ。それはパプーの「この世界の住人ですらない」という言葉から、月は天体というよりも別の世界(異世界)と考えるべきじゃないかと思えるからです。私達の世界にある「天体の月」のイメージでポポロの世界の月を理解しようとするとちょっとギャップが出てしまうかもしれません(私達の月は簡単に行くことはできない場所ではあるものの、同じ世界に存在しています)。
「自分達は人々に恐れられる存在」、ずっとそう思っていたパプーにとって、ピノンが少しも恐れることなく接し、名前をつけてくれた時にはどれほど嬉しく、そして同時にピノンに正体を隠すという嘘をつき続けなければならなかったことがどれほど苦しかったでしょう?ルナが自分の正体を告白して、それでもピノン達が今までと変わることなく温かく受け入れてくれたのを見て、パプーにとってそれはものすごくうらやましかったことなんじゃないかと思います。「きっとピノンなら・・・」一瞬はそう考えたに違いありません。でもそれができなかったのはピノンに嫌われたくなかったから、それほどまでにピノンのことが大好きだったから。
パプーが再び月の世界から戻って来る時に大きく鳴いた一声は、「またピノンと一緒にいることができる、今度は嘘も隠し事もない本当の自分のまま一緒にいることができる!」そんな嬉しさと万感の思いを込めて、大好きなピノンに「ただいま!」を告げるためのものだったでしょう。そしてそれを聞いて駆け出すピノンの本当に嬉しそうな表情が強く心に焼き付いています。ピノンとパプーが共に歩む次の冒険はどんなものになるのでしょうね?