142 破壊と再生

2003年9月15日

 月は満月から新月、新月から満月へと満ち欠けを繰り返すことから、古代において月は再生の象徴であり、月の神(女神)は再生の力を持つとする神話もいろいろ存在しています。「再生」という言葉はぱっと見には、非常に良い意味を持っているわけですが、それでは常に「再生」が良い方向に作用するものであるのかと言われると、必ずしもその通りだとは言えません。再生には、壊れてしまった物事を元に戻すというものと、変化した物事を元の状態に戻すために現在の姿形を一度壊してしまってから元に戻す、という2通りの過程があるのではないかと思います。元の状態をA、壊れてしまった状態をB、変化した状態をC、とすると前者はB→Aという流れで、後者はC→B→A、という流れになるわけです。前者の意味での「再生」ならば特に問題はないのですが、後者の意味での「再生」には「破壊」の意味合いが含まれる、つまり破壊と再生とは表裏一体のものである、ということになります。
前置きはここまでで、これから例によっての独断と偏見による考察になるのですが、ポポロクロイスの世界において謎の存在となっている月の精霊。精霊は世界の全てを構成するもので、闇の精霊を含めた全ての精霊を支配する力を月の精霊は持っています。その力の一部が「再生」の力であるとしましょう。それだけの力を託されていながらなぜ封印されなくてはならなかったのか、なぜパプーがあんなにも心配するほどに月の精霊が脅威と畏怖の存在になってしまったのか、その理由が破壊と再生の二面性に隠されているのではないか、とこう考えるわけなんですよね。闇の意思カオスは闇の精霊ヤズムに対してもその力を及ぼしていたほどですから、長い歴史の中において月の精霊に対しても同様に働きかけて、本来あるべき世界の姿を見誤らせたのではないのか、と。そしてその見誤った世界の姿こそが正しい世界であると信じた月の精霊が、その世界の実現(再生)を目指し、そこに存在していた世界を破壊しようとしたがために世界にとっての脅威となり、封印されることになってしまったのではないかなぁと考えた次第です。
光と闇の二面性を持ち合わせる謎の月ですが、新たに始まるアニメ「ポポロクロイス POPOLOCROIS」のイラストの中においても、暗く不気味な雰囲気を漂わせながら天空に浮かんでいます。ポポロクロイスの世界に大きく横たわるこの謎に対する答えは果たして?!