202 黄金の鍵のルール

2005年10月30日

 数々の謎と力を秘め、未来への扉を開ける役割を持つと言われている黄金の鍵。ナルシアからルナに受け継がれ、運命が導いているのかそれとも黄金の鍵自身が持ち主を選んでいるのか定かではありませんが、ポポロクロイスの世界において、これからも重要な意味を持つものであることは間違いなさそうです。大きな力を秘めるがゆえに、持ち主とそしてその使い方にも決まりごとがあるわけですが、黄金の鍵のルールにおいて是非とも考えてみたいテーマがあるので、結論は出せませんが推論を重ねて突破口を探してみようと思います。
ギルダはナルシアに黄金の鍵を渡す時にこのように注意します。「黄金の鍵を使って変身していることを知られてはいけない。もしばれてしまったら森の魔女としての力を失ってしまう」と。事実、カイからナルシアの姿に戻るところをピエトロに見られてしまったナルシアは、力を失いましたが、ルナの場合、水の聖域で黄金の鍵を使っていることがピノンとマルコにばれてしまった際には、何か力を失ったりするという罰はありませんでした。力を失うこともあり失わないこともある、この違いは何に起因するものなのでしょう?その違いは何を意味しているのでしょう?
ナルシアとルナの一番の違いは「森と海」、そしてナルシアが失った力は「森の魔女としての力」。この2つに注目すると、黄金の鍵のルールは森の属性を持つ者に対して発動しうるもの、と考えることができます。そうすれば海の妖精族であるルナには「力を失う」という罰が生じなかったことについてとりあえず説明はつきます。しかし同時に「森の妖精族と海の妖精族は、住む場所を分けられただけで元は同じ妖精族なのだからでそのような差が生じる理由はどこにあるのか?」という説明しなくてはならない新たな疑問が出てくるので、引き続きその考察をば。
森の妖精族と海の妖精族との大きな違いは「転生の法」。森の妖精族は妖精王メディアのように現在も転生の法を使うことができますが、海の妖精族は転生の法を用いて月の掟を破ってしまったがために、転生の法を封じられ石化の法しか使えなくなっています。つまり転生に対しては、既に海の妖精族には大きな制限が課せられているわけですね。そして黄金の鍵には月の掟の必要のない世界を作る架け橋の役目があり、そのために一時的に月の掟を逃れるための別のものに変身(=一時的な転生)することのできる力が備わっています。ですから黄金の鍵を自由気ままに使われることのないよう、何らかの制限をかける必要が出てきます。
神々は、月の掟が未来永劫在り続けることではなく、来るべき時が訪れたら再び元のあるべき世界に戻ることを望んでいるからこそ、黄金の鍵で未来への扉を開ける可能性を残しているのですから、黄金の鍵を全く使えなくするような極端に厳しい制限をかけるわけにはいきません。転生の法を封じられ黄金の鍵の力に頼るしかない海の妖精族、勝手に使うことは許されないにしてもいまだ転生の法を扱える森の妖精族、この2者に等しく黄金の鍵のルールを課そうとすれば、海の妖精族にとってはさらなる制限が増えることになってしまうのではないでしょうか?神々はそこまでして未来への扉を閉ざしてしまうほど無慈悲な存在ではないでしょう。妖精族を2つに分けて月の掟をかけ、さらには海の妖精族から大切な者と会うために必要かつ唯一であった転生の法を取り上げた時も、世界を守るための苦渋の選択だったに違いありません。ここに黄金の鍵を使うにあたっての、森の妖精族と海の妖精族との差異の理由を見出せるのではないかと思います。
なにやらややこやしい考察になってしまいましたが、まとめてみると「『力を失う』という黄金の鍵のルールは、独立して転生の法を用いうる森の(もしくは森の属性を持つ)妖精族に対して起こりうる」ということになります。謎多き黄金の鍵、まだまだこれからも頭を悩ませてくれそうです。