256 初代ポポロが誕生した経緯

2020年3月1日

前回の更新でポポロのアートブックを読み返していたところ、福島敦子さんへのインタビューの中で、「随分と事情が変わったためにパイロットフィルムの前と後ではシナリオやキャラのデザインが変更された」旨が書かれていたのを読んで、違和感と言うか不思議に思ったことがあったので、今回は初代の「ポポロクロイス物語」がどのような経緯で誕生したのかを手持ちの資料等や推察を交えつつまとめてみました。

1984年10月 朝日小学生新聞で田森先生の「ポポロクロイス物語」の漫画の連載が開始
1989年 ポポロのアニメ企画に向け、福島敦子さんがイメージボードを作成
1990年1月 ソニーと任天堂が両社の提携を確認する合意文書に署名し、新しいゲーム機の共同開発作業が進展
1990年11月 スーパーファミコン発売
1991年3月末までに(※1) スーパーファミコン用「ポポロクロイス物語」の企画書が完成?
1991年6月 ソニーがシカゴのCESでプレイステーション(スーパーファミコンとCD-ROMの一体型マシン)を正式発表した翌日、任天堂がフィリップスのCD-Iを使ったゲーム機を開発すると発表
1992年7月 ソニーの方針決定会議で家庭用ゲーム機の参入が決定
1992年9月 福島さんがゲーム用設定資料(※2)を作成
1993年初頭 「PS-X」(初代プレイステーション)のプロジェクト開始
1993年1月頃(※3) PS「ポポロクロイス物語」の制作開始
1993年10月 福島さんがパイロットフィルム用設定資料を作成
1993年11月 ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCE)設立
1994年10月 朝日小学生新聞連載の原作が単行本化(王子さま、竜の山へ行く)
1994年12月 初代プレイステーション発売
1995年10月 福島さんがPS用ポポロのイメージボードを作成
1996年7月12日 PS「ポポロクロイス物語」発売

※1の時期は推察ですが、そう考えられる根拠がコレ。


やまゲンさんこと山元哲治さん(歴代のポポロのプロデューサーで現在はEpics社長)のツイートです。この写真の左側に写っているスーパーファミコン用ポポロの企画書ですが、引用されているイラストは、ポポロのアニメ企画のために福島さんが1989年に描かれたものですから、当然にこの企画書が作られたのはそれ以降です。そして、企画書の右下にある「EPIC/SONY RECORDS」(全て大文字)という表記は、1988年3月に前身であるEPIC・ソニーがCBS・ソニーに吸収合併されてから使われるようになったものですが、1991年4月にCBS・ソニーがソニー・ミュージック・エンタテインメント(SME)に商標を変更して以降は、「Epic/Sony Records」と小文字混じりになりました。だから、この企画書で全て大文字の表記が使われているということは、表記が変わる1991年4月以前に企画書が作られたことを示唆していますので、その時期を1989年以降、1991年3月末までと推測した次第です。

※2の設定資料について、描かれた日付けを見る限りでは1992年9月~11月となっています。田森先生が描かれたモンスターのデザイン画の日付けも1992年10月なので、おそらくはこれ位の時期までにはゲーム化の動きが本格的になっていたということでしょうか。この資料には、氷の魔王や四天王といったポポロ1の敵はもちろん、バルバラン、マイラ(サニアに化ける姿も!)、ジルバ、レオナに至るまでポポロ2で登場するキャラクターのほか、パイロットフィルムにも登場するタンゴ、獅子王のパウロの姿など非常に幅広く描かれていますから、この段階でどれほどまでの物語を描く予定であったのかは皆目見当がつきません。ただし、1992年7月にはソニーが家庭用ゲーム機への参入を決定し、後述するように1993年1月にはPS版ポポロの制作がスタートしているため、この資料全てがスーファミ版用だったのか、PS版も視野に入れていたのかは不明です(スーファミのメモリの都合上、ピエトロの髪形が坊主頭になっている、という話もあります)。

※3でPS版ポポロの制作が始まった時期を1993年1月頃としたのは、山元哲治さんが雑誌のインタビュー(CONTINUE Vol.52)の中で、ポポロの制作開始からリリースまで3年6か月かかったと話されているので、ポポロの発売日から逆算しました。また、山元さんはSCE設立の10か月前からPS事業準備室を担当されたそうですから、プレイステーション本機のプロジェクトが始まったのとほぼ同時期にPS版ポポロの制作がスタートしたことになりますね。とすると、ポポロの制作プラットフォームがスーパーファミコンからプレイステーションに移ったのは1992年7月から1993年1月までの間と考えられます。

以上のようにPS版ポポロの制作の流れを整理したところで、「パイロットフィルム以降に随分と事情が変わってシナリオやキャラのデザインが変更された」という点についての疑問ですが、大きく事情が変わったのはむしろパイロットフィルムが制作される前で、それ以降はキャラデザの変更を含めてそんなに大きな動きは見られないんですよね。シナリオについてもパイロットフィルムの中にPS版ポポロのエッセンスが濃縮されていますし。ところで、パイロットフィルムのお話は何が元になっているんでしょう?パイロットフィルムの段階では既に氷の魔王のデザイン画は存在していましたから、そこをあえてスキンナーグを持って来たのは何か理由があったのでしょうか?

色々と繋がりそうで繋がらない、見えそうで見えない流れがいくつか存在しているので、現在、ポポロファンクラブでは2018年12月のポポロファンフェスタで展示された原画の紹介がされていますが、その紹介がひと段落したら、こうしたポポロの歴史を紐解く内容を公開してくれると嬉しいなぁと思うのでありました。

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